前回、入試問題の素材文刊行時期などについて気になることの話をしてきました。その続きです。
大阪星光中学の大問二は、今井むつみ「学びとは何か」です。
これも大問一と同様に、2016年に刊行されたものです。
昨年度、初芝富田林中学などで出題されています。やはり、2年以上前に刊行された本は、全く同じ文章でないとしても、どこかの中学で出題されている可能性はあります。
としたら、2018年に刊行された本を素材文にすれば、どこかの中学で出題されていたということが単純に避けられます。
では、前回話題に上がった東大寺中学の今年度入試問題素材文はどうだったのでしょうか?
大問一は、榎本博明「自己実現という罠」です。
これは、2018年5月に刊行されたものです。
榎本博明の著書は、よく中学入試の素材文として使われます。「自分らしさってなんだろう?自分と向き合う心理学」などが有名です。その作者の最新刊になります。
東大寺中学入試問題は、2018年5月刊行されたものを素材文として扱っています。当たり前のことですが、2018年5月以降に入試問題を作成していることになります。何となく伝えたいことが見えてきたでしょうか?
大問二は、小嶋環「ヨイコのリズム」です。
これは、2018年1月に刊行された小説現代2月号に掲載されていたものです。単行本にすらなっていないものを素材文として使っています。
東大寺中学は入試問題素材文ですべて2018年に刊行されたものを使用しています。その結果、他校の過去問として使用されていたということは避けることができていますね。
それでは、他の最難関中学はどうでしょうか?次回は、甲陽学院中学をみてみます。
ちなみに入試問題の分析はまたの機会にします。自分が興味をもったことを好き勝手に書いています。