まず、灘中国語1日目の内容について触れていきます。2023年度は平均点が少し低下していることは前回触れたとおりです。

  

 私が個人的に気になった問題を中心に偏見をもって分析していこうと思います。

  

 まず気になったのが、大問二俳句の問題です。次回以降で触れていく全問題数との関連での着目です。

  

 形式面として俳句の空欄補充問題で、記号選択する点は過去問の形式を踏襲していると言えるかもしれません。

  

 そこで、過去5年分俳句の大問だけを拾っていくと

  

 平成31年度の季語に着目させて、春からの季節順に俳句を並べ替えさせる問題

  

 令和2年度の「椿」や「朝顔」などの「植物」を空欄補充で記号選択させる問題

 【6つの解答数に対して、選択肢の記号数は8】

  

 令和3年度の「伊勢海老」や「馬」などの「動物」を空欄補充で記号選択させる問題

 【7つの解答数に対して、選択肢の記号数は10】

  

 令和4年度の複数の俳句に共通して「春」や「夏」などの「季節」を空欄補充で記号選択させる問題

 【4つの解答数に対して、選択肢の記号数は4】

  

 そして、令和5年度の「アロハシャツ」、「日記」、「林檎」といった「買い物」をテーマとした俳句の空欄補充で記号選択させる問題

 【6つの解答数に対して、選択肢の記号数は12】

  

 俳句の上部に季節が表記され、解答するヒントが与えられてはいます。ただ、解答数に対して倍ある選択肢の中から正解を選ぶのは、時間制約がある受験生にとってかなりの処理能力が必要とされていたのではないでしょうか。もちろん、受験生には空欄を音数に分けて考えて時間短縮する工夫は必須ですが、例年の俳句の問題より時間がかかるので、やや戸惑う問題だったと言えます。

 

 令和5年度は「買い物」をテーマとした俳句を問うたという点で、平成30年度の「犬」がテーマの俳句の空欄補充問題に近いともいえますが、空欄に入れる言葉が季節に関連した「買う」ものとしているのは、いままでの過去問とはやや異質に感じます。

  

 問題作成者である学校の先生は受験生や塾に的を絞らせないよう、同様なことは問わない工夫をされていると思います。ですので、来年度は、平成30年度【6つの解答数に対して、選択肢の記号数は6】、平成29年度【5つの解答数に対して、選択肢の記号数は5】のような、それほど時間のかからない、シンプルな出題に戻る可能性はあります。

  

 俳句の出題が今後どのような流れになっていくのか、注視していくべきかと。(特に、解答数に対する選択肢の記号数は注意です。)ただ、受験生にはやるべき対策は見えてはいるかと思います。

  

 次回は、1日目の全問題数との関連について触れていきます。