お薦め読書の2024年3回目です。
作者別に紹介していますが、今回は佐藤いつ子さんです。2015年に「駅伝ランナー」で作家デビューされて、その著書が中学入試の素材文でよく採用されている方です。
ちなみに作者自身のお子さんが、お二人とも中学受験を経験されたようです。そのせいかわかりませんが、中学入試の素材文となるような頻出テーマ(成長・友情)の物語文を中心に執筆されています。
「透明なルール」
2024年4月24日刊行
主人公中学生の優希は「人にどう思われるか」を気にして同じグループの友人に言いたいことも言えないでいます。それぞれ個性を持つ同級生との交流を通して、自分が「透明なルール」に縛られていると気づき、彼女の成長していく姿が描かれる物語文です。
この本は色々とテーマがてんこ盛りですが、主要なテーマはタイトル通り「同調圧力」です。とある大手塾さんの今年11月公開模試でも出題されており、その問7で問うていたキーワードです。
かなり古い本ですが、その「同調圧力」を理解する参考書として私が名著だと思うのが
「友だち幻想」 菅野仁 著
2008年3月刊行
私が大手塾勤務時代、この本を使用して模試を作成したことがあります。当時は、模試の素材文としてなんて素晴らしい本なんだと思ったほどの本です。最近の入試問題でも素材文として、いまだに採用されている学校があるようです。
この本は小学生にとって「色々と」勉強になると思うので、「同調圧力」を理解する上でも、5年生以上なら読んでほしい一冊です。「透明なルール」と「友だち幻想」の二つの文章を使った入試問題が出題されたら面白いかなと勝手に思ってます。
「ソノリティ」
2022年4月20日刊行
中学一年生である早紀、音心、晴美、涼万、岳の5人が、合唱コンクールをめぐり悩んだり、挫折したりしながら成長していく物語です。小学生にとって、読みやすいです。特に、女子主人公が視点の物語文読解が苦手な男子には、おすすめです。
2024年 神戸国際、2023年 京都女子、武庫川女子、立命館などの中学入試素材文として採用されています。
「キャプテンマークと銭湯と」
2019年3月14日刊行
サッカーのクラブチームでキャプテンをしていた周斗が、後から入ってきた大地にキャプテンの座を奪われてしまいます。そんな彼が、銭湯で知り合った人々との心の触れ合いを通して成長する物語です。新キャプテンへの嫉妬心や、モチベーションが下がり投げやりになる気持ちなどが上手く描かれています。
2024年 松陰、2023年 同志社女子、立命館守山などの中学入試素材文として採用されています。