前回に引き続き、2023年灘中入試国語1日目についてです。今回も私の偏見に基づいた分析をしていきます。

  

 前回は大問二の俳句の出題について、学校HPに平均点が掲載される過去5年間に限定して考察してみました。

  

 今回は、その過去5年間の総問題数(解答欄数)と平均点の関連についてです。漢字パズルの問題は、解答欄数でカウントしています。

  

 平成31年度 大問数 6 小問数 43    平均点 60.0点

   

 令和2年度  大問数 7 小問数 58    平均点 54.3点

  

 令和3年度  大問数 8 小問数 50    平均点 57.7点

  

 令和4年度  大問数 7 小問数 52    平均点 53.4点

  

 昨年までは、見事なまでに平均点が上がったり下がったりを繰り返していました。また、小問数が少なくなると平均点が上がり、小問数が多くなると平均点が下がるという繰り返しだとやや強引ですが考えることができます。問題数が多くなると、その分時間がかかり平均点が下がるのではと単純に考えてしまいます。

  

 今年はどうなるかなと思っていたところ、次の結果です。

   

 令和5年度  大問数 6 小問数 45    平均点 51.1点

 

 小問数が少なくなったのに、平均点が下がりました。仮説不成立です。処理問題数が減ったのにも関わらず、問題の難度が上がってしまったのです。

  

 そもそも問題用紙を2枚以内に収めようとしている問題出題者の意図が見え隠れしています。過去20年で見ると、平成15年度、23年度、28年度に問題用紙が3枚です。それ以外は基本的に問題用紙が2枚で収まっています。

  

 過去5年のうち平成31年度と令和5年度以外は、大問一が問題用紙1枚目以内に収まっており、大問二以降をゆとりをもって問題用紙2枚目に作成されています。大問一素材文の長さが、総問題数に大きく影響を与えているようです。

 

 つまり、総問題数ではなく難易度が上がった小問の増加が、今回の平均点低下の主たる要因です。

  

 ここで、前回お話しした俳句の問題難化がつながってきます。もちろん、俳句の問題だけが難易度が上がったというわけではありません。他の小問にも難度の高い問題があります。次回以降、それらについて触れていきたいと思います。