お薦め読書の2024年5回目です。冬休みに入り、年末年始も近づいてきました。時間があればぜひ読んでみてください。
作者別の紹介で、今回は「寺地はるな」さんです。作者は大阪在住のため、文章中に出てくる会話文の関西弁が自然で、私には読みやすかったです。作品によっては大阪の地名などが多く出てきて、さらに親近感が湧きました。
「タイムマシンに乗れないぼくたち」
2022年2月10日刊行
思い通りに過ごせていない、なんとなく居心地の悪さを感じる主人公たちが小さな光を見つけていく短篇集。表題作の「タイムマシンに乗れないぼくたち」が、クラスに馴染めない恐竜好きの男の子が主人公の話で、テーマは「成長」です。
2023年 同志社香里の中学入試素材文として採用されています。
「水を縫う」
2020年5月30日刊行
第67回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選ばれたもので、テーマは「多様性」となります。
第一章は、手芸が趣味の男子高校生「清澄」の視点。第二章は、過去のトラウマからヒラヒラしたものが嫌いな姉「水青」の視点。第三章は、彼らの母親の視点から描かれており、第四章以降もそれぞれ異なる視点で、全部で6章からなります。寺地さんの作品の中で読んでいて、一番面白かったです。
2024年 龍谷大附属平安、姫路女学院、2023年 啓明学院、2022年 京都橘、2021年 関大中等部、親和、雲雀ケ丘などの中学入試素材文として採用されています。
「ほたるいしマジカルランド」
2021年2月10日刊行
大阪の遊園地「ほたるいしマジカルランド」で働く人たちの日常を描いた短編集。「蛍石市」という架空の地名が舞台ですが、「菊人形」から素直に考えて、おそらくモデルは「兄さん」がいる「ひらパー」です。関西人にはお馴染みの遊園地で、少し想像しやすいかなと思います。
2022年 関西大倉、関大北陽などの中学入試素材文として採用されています。
「ガラスの海を渡る舟」
2021年9月23日刊行
祖父亡き後ガラス工房を引き継ぐ事になった、みんなと同じ事ができない兄「道」となんでも平均的にこなせる妹「羽衣子」のお話。この本でも、「空堀商店街」「須磨」「京阪電車」など、関西人ならわかる名称が出てきて、親近感が湧きます。
高槻中学の入試問題で、この素材文が使用された大問㈡問9が少し難しく感じたので、理解を深めるため素材文全体を読んでみようと思って手に取った本です。入試問題の素材文の中には、兄の「発達障害」というキーワードが使用されています。
2023年 高槻、2022年 智辯学園奈良カレッジの中学入試素材文として採用されています。
年内に、あと数本書いておきたいのですが・・・