お薦め読書の2025年2回目です。年末・年始のお時間がある時にでも、時間をとって読んでみてください。
今回は、受験がテーマである物語文の紹介となります。
以前はリアルな中学受験ということで、シリアスな雰囲気のある文章が散見されましたが、今年読んだものは読後感が明るいというか、ポジティブな感情を持てるお話が多かったかなと思います。
「中受 12歳の交差点」 工藤 純子 著
2025年6月24日刊行

物語の中心となるのは、新・広翔・つむぎの三人。その三人の選択肢は、都立中適性検査、私立一般受験、そしてAO入試。いわば「中学受験」という交差点で、現実に悩みを持ちながらも、それぞれの道に足を踏み出していく前向きな姿が描かれます。
中学受験というものにポジティブな気持ちになれるものとして、お薦めです。
次は、2024年にお薦め読書として紹介した「アルプス席の母」の作者の本です。この本は、2025年度入試で、愛光中やラサール中など数校で入試素材文として採用されました。
「問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい」 早見 和真 著
2025年3月30日刊行

中学受験を通して家族の絆を描いた物語です。
主人公の長谷川十和は、「星蘭女学院中学」という架空の中学を第一志望校として目指します。
どうでもいいことなんですが、塾関係者である私としては、この「星蘭女学院中学」が「神戸女学院中」と「四天王寺中」の特徴を合わせたような学校やなと思いながら読んでいました。実際にこれらの学校をモデルにしたかどうか筆者に確認したいところです。
これは、今年の大手塾での模試素材文として採用されていました。どこかの中学で素材文として出題されるかもしれません。
最後は、大学入試をテーマとしたもので、これも読後に前向きな力をもらえる一冊です。
「僕たちは我慢している」 藤岡 陽子 著
2025年5月13日刊行

中高一貫の名門男子校「征和学院高校」に通う高校男子4人を軸に、超難関大学受験に挑む青春群像を描いた長編小説です。
中学受験とは違い、中高一貫校に入学してからの大学入試について描かれていますので、先ほどの2冊とは違って小学生には実感しにくいかもしれません。ちなみに、同じ著者が書いた、中学受験をテーマとする「金の角持つ子どもたち」は、中学入試の素材文として多くの学校で採用されました。
これも、2026年度入試の素材文として採用されるかもしれません。