今年の入試問題の素材文で気になったことがあり、色々と調べて感じたことを数回に分けて独断と偏見で備忘録的に書いてみます。関西では、最難関校数校に限り書いてみます。調べていく一方で、関東の学校はどうかなと感じ、男女御三家の数校に限定して比較してみてみます。

 きっかけは、今年の大阪星光中学の入試問題でした。

 大問🈩は、奥田英朗「夏のアルバム」です。

 なにが気になったかというと、この素材文が平成25年度東大寺中学入試問題と同じだったことです。寸分違わず同じというわけではないですが、千寿堂の伯母さんが危篤になって、両親は病院にかけつける一方で、子供たちは銭湯へ行く場面は重なっています。

 当然、生徒にしてみれば、以前東大寺中学の過去問でした文章が出題されたと喜びます。受験生全員にあてはまる話とは限りませんが、星光と東大寺を併願する生徒は多いです。その中で25年度~30年度の過去問はしているかと。

 塾の模試で出題した素材文が入試で同じ文章になると、塾側は的中だと大喜びします。ですが、的中された中学校側としては面白くないはずです。ましてや、難関中学校同士、それも同じ関西で併願校となれば、素材文が被れば想像に難くないかと。

 なぜわざわざ併願校の過去問で出題している素材文を大阪星光中学は出題したのでしょうか?

  奥田英朗「夏のアルバム」 は、2016年に刊行された単行本「ヴァラエティ」に収録されています。おそらく、時期的に考えて星光中学の入試作成者はこの本から素材文を選んだかと。

ヴァラエティ

 ただ、この「夏のアルバム」は2012年に刊行された「あの日、君とBoys」にも収録されています。

あの日、君と Boys (あの日、君と) (集英社文庫)

 おそらく、平成25年度東大寺中学入試作成者は、前年に刊行された「あの日、君とBoys」から素材文を選んだかと。

「夏のアルバム」という同じ素材文が異なる本からそれぞれ刊行されています。

 入試担当者にしてみれば2016年に刊行された本だから、それより以前の入試問題には使用されていないだろうとの憶測がはたらいた・・・。愚かな邪推です。間違えていますね。すみません。

 中学の入試作成担当者は、同じ地域の他の中学、特に最難関中学の入試問題を研究しているはずです。(私は勝手にそう思っています。)ただ、学校の先生方から聞いた話や入試問題そのものから、この推測があながち間違いとは言えないかと。

 だとしたら、入試問題作成者は東大寺中学で出題されていたのを気づいていたけど、大阪星光中学でも同じ素材文で受験生の学力を見てみたいと思ったのでしょうか。(まあ、直接学校の先生に聞けばすむ話ですね・・・)

 そんな無駄なことを考えていたら、入試問題で使われる素材文はいつ刊行されたものを使われているのか。今年度の場合どうか。疑問が湧いてきて、少し調べてみました。

 続きます。